2002年度日本植物分類学会野外研修会実施報告

宮崎市 南谷忠志


 2002年度野外研修会は「キバナノツキヌキホトトギス咲く秋の日向路の花の観察」として、宮崎県で開催されました。宮崎県は、島嶼や特殊地形等があるわけではないのに固有種が多く、またソハヤキ植物の宝庫といえましょう。幸い、交通不便で陸の孤島であったためか、開発が遅れ、これらの植物は残されてきました。しかし、近年になって開発の波が押し寄せています。今回は、その一端を観察し、宮崎県のフローラの概要を掴んで頂くことを目的に貸し切りバスで各地を回ることにしました。県中部で、固有種のキバナノツキヌキホトトギス・キバナノホトトギス・ウラジロミツバツツジを、県北部で、現在大規模農地整備中のオグラコウホネ・ヒメコウホネが群生し、ミクリ類や南限のヌマゼリ・オニナルコスゲ等20種ほどのRD植物が生育する低層湿原を観察しました。他にも東海要素のナガバノイシモチソウ・ヘビノボラズが生える中間湿原、豊富な水田植物、日本唯一の自生種オオバネムや絶滅寸前のミズキンバイなども観察しました。本州では見ることの出来ない多くの希少種の出現に感激されていたようでした。

期日:2002年9月27日(金)〜29日(日)
研修内容:
27日:夕方ホテル集合、講話(九州〜宮崎のフローラ;南谷忠志)、ホテル泊
28日:終日野外研修、夕食時室内研修(北川町の湿原の開発と保護;南谷忠志・矢原徹一)、ホテル泊
29日:終日野外研修、15時に駅・空港解散
参加者:伊藤元己・梶田忠・加藤雅啓(東京)、長谷川義人・堀内洋(神奈川)、内藤宇佐彦(静岡)、西田佐知子・吉田國二(愛知)、須賀瑛文(岐阜)、山脇和也(三重)、 村瀬忠義(滋賀)、権藤啓子・永益英敏(京都)、織田二郎・田村実・平野弘二(大阪)、黒崎史平・福岡誠行・布施静香(兵庫)、田中昭彦(鳥取)、福原達人・福原美恵子・ 矢原徹一(福岡)、黒木秀一・南谷忠志・室屋瀧雄(宮崎):計26名 

見学場所及び出現した主な植物:以下のとおりです。
 児湯郡川南町新茶屋湿地:ナガバノイシモチソウ、ヘビノボラズ、サクラバハンノキ、ミズギボウシ、サギソウ、シロイヌノヒゲ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、コモウセンゴケ、サワシロギク、ミカワシンジュガヤ他
 児湯郡川南町細尾鈴山麓込ノ口(260m):ナガバサンショウソウ、ミズワラビ、スズメノハコベ、ミズマツバ他
 児湯郡都農町尾鈴山麓キャンプ場入り口(420m):キバナノツキヌキホトトギス、コウヤマキ、ウラジロミツバツツジ、ヒュウガミツバツツジ、スズコウジュ、キバナノホトトギス、ツゲモチ、クロバイ、シロバイ、サツマルリミノキ他
児湯郡都農町上征矢原(100m):ヒメノボタン
日向市美々津町田の原(200m):キバナノホトトギス、ミズギボウシ、ムカゴニンジン、イヌノヒゲ、クロホシクサ、ヒロハイヌノヒゲ、ゴマシオホシクサ、ミズネコノオ、マルバノサワトウガラシ、ミズキカシグサ、マシカクイ、ヒメシロネ他
日向市平岩鵜毛(170m):スブタ類(マルミスブタ、スブタ、ヤナギスブタorミカワスブタor雑種)、ミズネコノオ、ヒメノボタン、ニッポンイヌノヒゲ、クロホシクサ、ホッスモ、車軸藻類(シャジクモ、ケナガシャジクモ、フタマタフラスコモ、カラスフラスコモ;須賀瑛文さんの同定。4種もあったそうです)
東臼杵郡東郷町福瀬福瀬神社(40m):ハナガガシ、シロバイ、オガタマノキ他
東臼杵郡北川町家田、川坂湿地(10m):コウヤワラビ、ミズワラビ、サクラタデ、サイコクヌカボ、ナガバノウナギツカミ、サデクサ、オグラコウホネ、ヒメコウホネ、ゴキヅル、ヌマゼリ、ホソバノヨツバムグラ、オオユウガギク、ヌマトラノオ、イヌゴマ、ミズオオバコ、キタガワヒルムシロ(角野新称)、ナガエミクリ、ウマスゲ、オニナルコスゲ、ミズガヤツリ、アゼガヤツリ、ツルナシコアゼガヤツリ、クログワイ、カンガレイ、ハタベカンガレイ、エンシュウベニシダ、オニグルミ、フジツツジ、オンツツジ、アオカズラ他
延岡市片田町(5m):オオバネム
宮崎市山崎町(3m):ミズキンバイ、ヌマゼリ、シログワイ、クロタマガヤツリ、ミズワラビ、ミソハギ、スズメノハコベ他