第2回日本分類学会連合シンポジウムのお知らせ
趣旨 われわれヒトのパートナーであり,生物資源・環境でもある生物の多様性は,学術的な関心ばかりでなく,良好な地球環境の保全といった社会的な問題にも強く結びついたたいへん大きな課題である.生物多様性の中核はいうまでもなく種の多様性である.25の学会が加盟した日本分類学会連合は全生物群を網羅できる唯一の組織として生物多様性をめぐる諸課題に取り組んでいる.今年度は日本産生物種数調査委員会を設け,日本産生物種数を調査している.この日本にどれだけの種が知られ,未知の種はどれほどあると推定できるのかを調査し,日本の生物多様性の基礎データを得る(ニュースレター2号参照,連合ホームページ掲載).シンポジウム1では,この調査結果報告に加え,分類群毎の多様性,そのユニークさと面白さについて話題を提供していただき,それを通じて日本の生物はどこまでわかっているかの現状認識と生物多様性の諸側面について意見交換する.さらに,翌日のシンポジウム2では「ヨーロッパが所蔵する日本産生物タイプ標本?日本の生物多様性研究発展の鍵」について相補的に討議する予定である. なお,本シンポジウムは,その趣旨に賛同いただいた(財)国際花と緑の博覧会記念協会からの助成を受けている.一般の方にも広く参加を呼びかけ,公開シンポジウムとして行われる. 日程 期間:2003年1月11日(土)?1月12日(日) 会場:国立科学博物館分館(東京都新宿区百人町3-23-1) 日程: 1月11日(土) 10:00-12:00:日本分類学会連合総会 13:00-17:30:シンポジウム1 18:00-20:00:懇親会 1月12日(日) 10:00-15:00:シンポジウム2 シンポジウム1 「日本の生物はどこまでわかっているか:既知の生物と未知の生物」 柁原 宏(国立環境研究所):既知種数と未知種数に関するアンケート調査結果 松浦啓一(国立科学博物館)・瀬能宏(神奈川県立生命の星・地球博物館):日本に魚は何種いるのか?既知種と未知種をめぐる問題 白山義久(京都大学):未知種の宝庫 メイオベントスの世界 青木淳一(神奈川県立生命の星・地球博物館):身の回りにいくらでもいた名無しのダニ類?土壌動物の世界の扉を開く 邑田仁(東京大学):マムシグサは1種か30種か?これからはじまる植物種の構造解析 出川洋介(神奈川県立生命の星・地球博物館):これからの菌類分類学に求められること 篠永哲(東京医科歯科大学):日本産の双翅類は分類学的にどこまで分かっているか 石田健一郎(金沢大学):細胞内共生による葉緑体の水平伝搬がもたらした藻類の多様性 シンポジウム2 「ヨーロッパが所蔵する日本産生物タイプ標本?日本の生物多様性研究発展の鍵」 伊藤元巳(東京大学):GBIF, GTIの活動とタイプ標本 山口隆男(熊本大学合津マリンステーション):シーボルト収集標本を調査して 西川輝昭(名古屋大学博物館):デーデルラインコレクション調査から見えてきたもの 上田恭一郎(北九州市立自然史・歴史博物館):シーボルト収集昆虫標本の概略とその今日的意義 駒井智幸(千葉県立中央博物館):分類学者はどうして古い標本を見たがるのか??デーデルライン採集甲殻類標本調査の成果 藤井伸二(大阪市立自然史博物館):シーボルト植物標本に見る科学の目?標本における生物情報の編集を例に 藤田敏彦(国立科学博物館):フランツ・ドフラインと相模湾の深海動物 並河 洋(国立科学博物館):相模湾調査120年史 日本分類学会連合ホームページ:http://www.bunrui.info |
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