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活動他/学会賞のあゆみ

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学会賞のあゆみ

  • 学会賞・奨励賞については、選考理由(各年のニュースレター2月号掲載)を転載しています。
  • 論文賞については、誌名巻号から論文にリンクしています。

 第1回(2002年度) 2002/3表彰・授与

学会賞

大橋 広好
大橋会員はマメ科を中心として多数の論文を発表し、東アジア地域の植物誌や図鑑等の執筆にも努められました。また国際植物分類学連合命名法委員会種子植物委員、国際植物情報連合地球植物誌委員会委員を務められ、国際命名規約の翻訳など、専門分野だけでなく広く社会的にも貢献されたことが評価されました。
堀井 雄治郎
堀井会員は東北地方の植物について調査・標本収集を重ね、特に和賀山塊自然学術調査では主導的な役割を果たし、その成果は「和賀山塊の自然−和賀山塊学術調査報告書−」(1999年)に発表されました。その結果「和賀岳自然環境保全地域」が拡大されるという動きにつながり、和賀山塊の保全強化に大いに貢献したことが評価されました。

 第2回(2003年度) 2003/3表彰・授与

学会賞

白岩 卓巳
白岩会員は兵庫県の植物、とくにシダ植物を中心に調査・研究を重ねられました。六甲山のブナ林や兵庫県のウマノスズクサ属など地域の植物に関する研究報告や、神戸と植物分類学の関わりについてのさまざまな著作を通じて植物分類学の普及に貢献し、兵庫県の植物研究の発展に大きく寄与されたことが評価されました。
堀田 満
堀田会員は東南アジア・太平洋地域の熱帯域を広く調査し、分類学・生態学・有用植物学の分野で数多くの研究業績をあげ、たくさんの図鑑類や教科書の執筆により、植物分類学の普及に努められました。また環境問題や絶滅危惧種の保護にも積極的に取り組まれました。鹿児島大学の植物標本庫の整備にも尽力されるなど、さまざまな分野での広範な活躍が評価されました。

 第3回(2004年度) 2004/3表彰・授与

学会賞

村上 哲明
村上会員は、中国、マレーシア、タイ、マダガスカル、中南米などで本格的な野外調査を実施し、シダ植物の国際共同研究を推進されました。その中で、これまで単一種と考えられていた広分布種が、塩基配列、形態、生態、生殖などの面で識別される複数種であることを多くの例で確認し、「分子α−分類」学を提唱して種の認識に新たな局面を切り開かれました。現在もその研究は途上にあり、今後の発展が期待されます。
村田 源
村田会員は、長年の研究によって日本の植物相とその成り立ちの解明に寄与されました。北村四郎先生らとともにまとめられた保育社の植物図鑑全5巻は、日本の植物研究に欠かせない図鑑として、今日まで幅広く利用され続けています。また、全国のアマチュア研究者の採集標本について懇切丁寧に同定の指導をされ、地方植物誌の充実にも大きく貢献されました。最近はレッドデータブック近畿研究会代表として、全国に先駆けた地方版レッドデータブックの編纂に中心的役割を果たされるなど、絶滅危惧植物の保全にも精力的に活動しておられます。これらの広範な業績が評価されました。

 第4回(2005年度) 2005/3表彰・授与

学会賞

高宮 正之
高宮氏は、染色体の高度な観察技術を研究の柱とし、さらに比較形態学的観察や分子生物学的研究を併用して、今まで混沌としていたシダ植物の多くの分類群の実体を解明することに成功しました。特に無配生殖や倍数体がからむ分類群の研究には特記すべきものがあります。また日本産シダ植物の染色体数を網羅したデータベースを構築して公開されたことも、分類学に対する大きな貢献として評価されます。これらの実績を基礎にした研究は、今なお途上にあり、今後の発展が期待されます。
南谷 忠志
南谷氏は、宮崎県を中心とした精力的な調査により数多くの新分類群、新産地を発見するなど、九州地方の地域植物相の解明に重要な貢献をされました。また宮崎県を訪れる各分野の研究者への惜しみない協力も日本の植物分類学の進展に大きな役割を果たしたと言えます。最近は、絶滅危惧種への保全にも意欲的に取り組み、その広範な活躍が評価されました。

 第5回(2006年度) 2006/3表彰・授与

学会賞

西田 治文
西田 治文氏は鉱化化石など質の高い化石標本を解析し,その成果を新(現生)生物学の知見と総合されて,シダ植物から被子植物に及ぶ多様な維管束植物の系統進化を解明してこられました。絶滅裸子植物(キカデオイデア類,グロッソプテリス類他)や被子植物(プロトモニミア科)の化石研究から,それまでの常識を覆し新規性の高い優れた研究を行ってこられました。古植物学の立場から本学会の植物分類学の研究活動に多大な貢献をされたばかりか,学会の要職をこなして学会の発展に大きく貢献されたことが高く評価されました。
中藤 成美
中藤 成実氏は長らく高校教諭を勤められた後,現在は退職されてご住職を務めておられます。職歴に変化はあったものの一貫して高校および自宅を研究室として,日本産はいうに及ばず中国産,マリアナ諸島,北米など近隣地域あるいは関連地域産のシダ植物の細胞分類学的・細胞地理学的研究を手がけられ,優れた業績をあげてこられました。また,2001年以降は毎年1篇のペースで学会誌(英文)上に論文を発表され,新学会の発展に大きく貢献されました。これらの活躍が高く評価されました。

第1回大会発表賞

口頭発表賞

  • 海老原 淳「標本情報を活用した日本産ハイホラゴケ群( コケシノブ科 ) の分類学的再編」
  • 大村 嘉人「ウメノキゴケにおける地衣類と共生藻の多様な組合せとその進化的意義」

ポスター発表賞

  • 有川 智己「複数の葉緑体遺伝子によるナンジャモンジャゴケ類の系統解析」
  • 高山 浩司(東大・理・附属植物園)「マイクロサテライトマーカーを用いた汎熱帯海流散布植物オオハマボウ(アオイ科)の遺伝子流動の解明」

 第6回(2007年度) 2007/3表彰・授与

学会賞

矢原 徹一
矢原 徹一氏は,花と生殖に重きを置いた種分類学の分野でめざましい業績をあげてこられました。80 篇を超える原著論文の他,数十に及ぶ邦文の専門書,啓蒙書,解説などを発表され,専門家ばかりでなく一般市民に対しても非常に大きな影響を与え続けてこられました。現在は進化生態学の第一線で活躍しておられます。さらに,日本植物分類学会の発展に尽くされた功績も計り知れないものがあります。学会の要職を歴任されましたが,中でも長年,絶滅危惧植物・移入植物専門第一委員会委員長として重責を担い,この問題に対する学会の活動と知名度を高めるのに貢献されました。

奨励賞

坪田 博美
坪田 博美氏は,セン類ハイゴケ類をはじめとするコケ植物の分子系統学的研究によりめざましい業績をあげ,その成果を取り込んでコケ植物の新分類体系を構築されました。日本でコケ植物の分子系統解析を定着させ,コケ植物分類学を前進させた貢献は著しいと評価されました。
藤井 紀行
藤井 紀行氏は,葉緑体 DNA の集団変異を解析して,分子系統地理学の分野の先駆的な研究を日本人研究者としてしかも若手研究者として行い,ヨツバシオガマなど日本産高山植物の生物地理などの解明に貢献されました。萌芽的研究を進展させた業績は奨励賞受賞にふさわしいと評価されました。
米倉 浩司
米倉 浩司氏は,分類学の幅広い知識に基づき,分類が困難なタデ科,ヤナギ科などを再検討し優れた成果を上げられました。植物学名データベース BGPlantsにおいて日本産の野生植物などの和名と学名の対照,学名の出典をまとめて,汎用性の高い情報を提供して分類学の進展に著しく貢献されました。

第1回論文賞

  • Kato, M. 2006. Taxonomic studies of Podostemaceae of Thailand. 2. Subfamily Tristichoideae and subfamily Podostemoideae with ribbon-like roots. APG57(1):1-54

大会発表賞

第2回口頭発表賞

  • 仲田 崇志「18SリボソーマルRNAとrbcL遺伝子に基づく分子系統解析と,微細構造に基づくヤリミドリ属(Chlorogonium)の分割」
  • 中村 剛「サツマイナモリ Ophiorrhiza japonica Bl.(アカネ科)の四倍体変種における二型花柱性の崩壊」

ポスター発表賞

  • 岩崎 貴也「日本に分布する温帯林の分子生物地理学的研究」

 第7回(2008年度) 2008/3表彰・授与

学会賞

加藤 雅啓
加藤 雅啓氏は,我が国及びアジアを主としたシダ植物の分類学的研究に始まり,藻類から被子植物にまでわたる広範な研究対象について,幅広い生物学的視野から研究を展開されています。多数の原著論文に加え,数多の邦文専門書,啓蒙書,解説などを通じて専門家以外に対しても分類学の重要性や科学としてのあり方,将来像などを提示してこられました。さらに,旧日本植物分類学会と植物分類地理学会との合併による現日本植物分類学会の設立と発展に会長として計り知れない貢献をされ,また,国際植物分類学会(IAPT)大会の日本開催において主導的役割を果たされました。昨年度の論文賞受賞者でもあり,現在でも旺盛な研究・指導・啓蒙活動を続けておられることからも,顕彰が遅きに失した感があります。
津軽 俊介
津軽 俊介氏は,村田源氏に師事し,関西地方を中心とする日本の植物相を解明するために精力的な標本収集を行うと共に,ブラジルなど海外でも調査をされました。多数の実生標本を作製されたことも特筆に値します。さらに,これらの標本を保管するため,大本花明山植物園植物標本庫の建設に向け大きな貢献をされたことも大きな評価を得ています。

奨励賞

大村 嘉人
大村 嘉人氏は,地衣体あるいは地衣菌そのものの形態的・生理的形質に着目してきた従来の地衣類分類に対し,共生藻類の種や系統と共生過程の進化的意義などについても考察を拡大した研究を展開されています。共生藻や共生に関わる形質に着目して形態や生理的性質を調べることで,地衣類の系統分類に新たな方向性を提示し,DGGE 法という独自の微細藻類解析方法も開発されており,地衣類研究への将来にわたる貢献が期待されます。

第2回論文賞

  • Takano, A. & H. Nagamasu. 2007. Myxochlamys (Zingiberaceae), a new genus from Borneo. APG58(1):19-32
  • Yamaji H., T. Fukuda, J. Yokoyama, J-H. Pak, C-Z. Zhou, C-S. Yang, T. Morota & M. Maki. 2007. Hybridization and chloroplast captures in Asarum sect. Asiasarum (Aristolochiaceae) documented by chloroplast DNA sequence. APG58(2/3):87-96

第3回大会発表賞

口頭発表賞

  • 渡邉 加奈「オオバウマノスズクサ群における網状の進化に関する研究」

ポスター発表賞

  • 奥山 雄大「ユキノシタ科チャルメルソウ属チャルメルソウ節(Asimitellaria)における未知の多様性の遺伝的探索:植物DNAタクソノミーへの核リボソームETS,ITS領域の有用性」
  • 加藤 将「複数の核DNA領域による日本産Chara braunii(シャジクモ目)の種内解析」

 第8回(2009年度) 2009/3表彰・授与

学会賞

高橋 正道「日本におけるメソフォッシル研究の展開と,特に白亜紀被子植物花化石研究及び,永年にわたる花粉形態研究における貢献」
高橋氏は,被子植物の多様な花粉や白亜紀の植物化石を用いて,被子植物の系統と進化に関して明らかにされ,「被子植物の起源と初期進化」を著し,研究内容の普及に努めた。特にメソフォッシルの研究ではアジア唯一の成果を挙げ,X 線利用にも挑戦されている。
太刀掛 優「広島県を中心とした地域植物誌研究及び,永年にわたる帰化植物研究と関連出版物の刊行による貢献」
太刀掛氏は,広島県呉市の教員として勤務する傍ら,40 年以上にわたって呉市の植物誌,呉市周辺の社叢林の調査・記録を継続された。特に「改訂増補 帰化植物便覧」(2007)は,日本の植物学・環境学に対して,計り知れない貢献をもたらしている。

奨励賞

有川 智己
コケ植物の分類学的研究に分子系統学的手法を先駆的に導入し,ハイゴケ科キヌゴケ属モノグラフを完成させるなど,日本各地の蘚苔類フロラ解明において将来にわたる貢献が期待されること。
高山 浩司
汎熱帯海流散布植物研究における集団遺伝学的解析による研究成果,特に海洋島固有種やマングローブ植物研究に着実な貢献をし,将来の発展も期待できること。
山田 敏弘
化石被子植物及び現生の原始的被子植物の比較形態及び形態進化学的研究,及び日本国内における古植物学的研究に着実な貢献をし,将来の発展が期待されること。

第3回論文賞

  • Adjie, B., Takamiya, M., Ohta, M., Ohsawa, T. A. & Watano, Y. 2008. Molecular phylogney of the lady fern genus Athyrium in Japan based on chloroplast rbcL and trnL-trnf sequences. APG59(2)79-95

第4回大会発表賞

口頭発表

  • 角川 (谷田辺) 洋子「ゼンマイ類の種間雑種集団における遺伝的集団構造の解析」
  • 土金 勇樹「接合藻ヒメミカヅキモの生殖隔離:性フェロモン(PR-IP)の認識低下による非対称な生殖隔離」

ポスター発表

  • 池田 啓「PHYE 遺伝子によるコメバツガザクラ(Arcterica nana)の系統地理」
  • 迫田 曜「シダ植物リュウビンタイ,ゼンマイの野生配偶体は菌根菌をもつ」
  • 佐藤 博俊「屋久島におけるキノコ相とヤクシマザルのキノコ食について」

 第9回(2010年度) 2010/3表彰・授与

学会賞

瀬戸 剛
瀬戸 剛氏は,32 年間にわたって,大阪市立自然史博物館標本収蔵庫(OSA)の確立と充実に努められました。その結果,OSA はプロ・アマを問わず,近畿地方の植物相を研究するものにとって欠くことのできない標本庫に成長しました。そして,「大阪府植物誌」,「大阪府植物目録」,「レッドデータブック近畿」,「大阪府レッドデータブック」などの作成にあたっても瀬戸氏は大いに貢献されました。旧日本植物分類学会は 1960 年からの,旧植物分類地理学会は少なくとも 1950 年より前からの会員であり(50 年会員),長年にわたり学会の発展にも尽くされました。さらに,「シダ類談話会」(現,しだとこけ談話会)の運営を 50 年以上続けられ,「三重県シダの会」や「奈良シダの会」の指導も長年にわたってされるなど,アマチュアの植物研究団体に対する支援や参画も精力的に行われてきました。このようにご自身の研究のみならず,植物分類学の普及においても大いに貢献をされた瀬戸氏の業績は日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。
野崎 久義
野崎 久義氏は,微細藻類と車軸藻類を材料として,分子系統学と比較形態学の手法を用いて種レベルの分類学的研究を活発に行ってこられました。そして,両方の情報を活用したこれらの植物群の記載分類に関する論文を多数発表されています。最近ではゲノム情報に基づく植物界の新しい高次分類体系の提唱,オス特異的遺伝子を基盤とする性の進化に関する独創的な研究などもされています。また,近年,絶滅が心配されている車軸藻類を保全するための研究も精力的に実施されました。さらに,日本植物分類学会の年次大会において毎年,指導学生と共に多くの発表をされてきたほか,評議員,編集委員,命名規約委員としても活躍されています。このように,野崎氏は若手が手本とするべき研究者であり,今後もその研究の大いなる発展が

期待されます。

奨励賞

角川 (谷田辺) 洋子
角川(谷田辺)洋子氏は,主にシダ植物を材料として種分化に関する研究を行ってこられました。シダ植物の種レベルの分類に葉緑体 DNA 上のrbcL遺伝子の塩基配列を用いる先駆的な研究を開拓し,特にシマオオタニワタリ類を材料とした研究では,遺伝的分化が大きくなるにしたがって生殖的隔離が強化されることを明らかにされました。最近は,ゼンマイ類を材料として用いて,渓流沿い植物であるヤシャゼンマイが姉妹種であるゼンマイから複数の遺伝子が関わって適応的な細葉形質を獲得し,進化したことを明らかにしておられます。また,日本植物分類学会第 4 回大会発表賞を受賞されるなど,本学会の発展にも積極的に関わってこられました。角川氏は,自配自家受精を通じてダブル・ハプロイドの胞子体を容易に作出できることなど,シダ植物の特性をうまく利用して独創性の高い研究をされていることが評価されました。
田中 伸幸
田中 伸幸氏は,半世紀以上にわたり標本採集調査が行われてこなかったインドシナ西北部のミャンマーにおいてフィールド調査を精力的に行っておられます。その調査において非常に多数の貴重な標本資料を収集され,それを基にした国内外の研究者との共同研究も活発に行い,多数の新分類群,新産種を発表されています。さらに,アジアの他の植物区系とのフロラの関連性についても比較検討を進めておられます。APG 誌や分類(和文誌)にも多くの論文を掲載され,本学会の発展にも積極的に関わってこられました。田中氏は,県立の植物園に所属して県フロラのとりまとめに活躍する一方で,このようなグローバルな研究・調査活動も活発に進められてきたことが高く評価されました。
仲田 崇志
仲田 崇志氏は,多系統の分類群を多数含み,その分類が混乱していた緑藻綱オオヒゲマワリ目の種を,包括的な分子系統解析の結果に基づき分岐学的に整理されました。同時に,Hafniomonas属,ヤリミドリ属,近縁藻類などについては,純粋培養株の確立,正確な種同定,分子系統解析,透過型電子顕微鏡観察などを組み合わせて,その属・種レベルの新しい分類体系を提唱されました。さらに,仲田氏は自身のホームページ(きまぐれ生物学)を通じて,関係分野の最新の論文解説や分子系統学の新しい解析手法の普及などにも大いに貢献されています。日本植物分類学会第 3 回大会発表賞を受賞されるなど,本学会の発展にも積極的に関わってこられました。これらの業績が高く評価されました。

第4回論文賞

  • Ebihara, A., S. Matsumoto & M. Ito. 2009. Taxonomy of the reticulate Vandenboschia radicans complex (Hymenophyllaceae) in Japan. APG60(1):26-40

第5回大会発表賞

口頭発表

  • 岩崎 貴也「国境の長いトンネルを抜けると雪国ハプロタイプなのか?〜三国峠におけるツリバナの種内遺伝構造について〜」
  • 三井 裕樹「琉球列島におけるAinsliaea (キク科モミジハグマ属)近縁種の系統進化」

ポスター発表

  • 加藤 静「一葉植物 Monophyllaea glauca (イワタバコ科)の斑入り形成機構の解明」
  • 中路 真嘉「日本産スイカズラ属植物の花形態と訪花昆虫との関連性」

 第10回(2010年度) 2011/03授与・2012/03表彰

  • 震災による大会開催断念のため、表彰は次年度の大会となった。

学会賞

鈴木 昌友
鈴木 昌友氏は茨城大学に在職中から,北関東を主たる対象地域としてその植物相の調査・研究,あるいはそこに分布する植物種の分類学的,植物地理学的,種生物学的研究を活発に行ってこられました。さらに茨城大学を停年退職された後も,茨城維管束植物調査会の会長として,県内の維管束植物の徹底した現地調査を実施・総括されてきました。この調査会は,現職あるいは退職後の小中高校の教員,すなわち職業研究者ではない茨城県内の植物研究者を主たる構成員としています。また,証拠標本等に基づいた新版・茨城県植物誌を発行することを目標として調査活動を続け,平成 21 年度にはいよいよ新版・茨城県植物誌の出版を準備する段階に到達されたと関係者から伺っております。このように,ノンプロフェッショナルな地元の植物研究者を束ねて,15 年間以上にもわたって茨城県内で植物調査を続けられ,地元地域の植物相の解明に大いに寄与されると同時に,その過程で植物分類学の教育・普及にも大いに貢献をされた鈴木氏の功績は,日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。
永益 英敏
永益 英敏氏は,常緑の森林系の生物多様性と生物地理に関する研究を進めてこられました。特にハイノキ科植物については,日本・台湾の種についての分類学的研究を行われた後,スマトラ・ボルネオなどの湿潤熱帯域に分布する種についても,活発に研究を進められました。花粉や実生形態など,さまざまな形態学的形質の比較研究に取り組まれたのに加えて,送粉生態系や森林動態などの研究者と共同研究を行われることで,研究を大いに発展させています。そして,マレーシア・ランビル国立公園では,林冠観察システムの設置当初から参加し,継続的な熱帯林の調査を行うことによって,ショウガ科の新属 Tamijia やクロタキカズラ科の新属 Sleumeria を発見されています。さらに,日本植物分類学会の英文誌である APG の編集や「国際植物命名規約」の日本語版の出版においても主要な役割を果たされ,日本植物分類学会の発展につくされました。永益氏のこれらの功績は日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。

奨励賞

青木 京子
青木 京子氏は,最終氷期以降の日本列島における照葉樹林の分布の歴史的変遷の解明を目標とし,複数の植物種内の遺伝構造に加えて,それらに種特異的に寄生する複数の昆虫種の遺伝構造も重ね合わせて比較解析するという独創的な研究を行ってこられました。実際に,植物の葉緑体 DNA よりも約 100 倍も分子進化速度の早い昆虫のミトコンドリア DNA の多型情報を分子植物地理学的解析に加えることによって,日本列島の東西地域間で大きな遺伝的分化がみられ,分布変遷の過程でも東西間での移動は制限され続けてきたことを示唆する興味深い結果を得ておられます。これらの研究成果が高く評価されました。
海老原 淳
海老原 淳氏は,特にコケシノブ科のシダ植物を主要な研究材料として,系統・分類・種形成に関する一連の研究を行ってこられました。その過程で,シダ植物の多様性解明においては,ほとんど配偶体世代のみしか見られないものも重要であることに気づき,網羅的な分子情報の収集を行うことによって,シダ植物の配偶体フロラとその多様性の解明を試みられています。その研究成果は 12 本を超えるご自身が筆頭著者の論文として,国際誌に発表されています。一方で,分類学と社会のつながりも重視し,植物の多様性情報を集積して社会に向けて発信する活動も積極的に推進されておられま。これらの功績が高く評価されました。
厚井 聡
厚井 聡氏は,渓流中の生育環境に適応したカワゴケソウ科植物の形態進化に関する研究を行ってこられました。そして,この植物群では茎頂分裂組織が存在せず,葉の内部から葉が生じるという他の植物群では決して見られない特異な発生様式を示すことを明らかにされました。さらに,この植物群の「葉」は,発生初期の茎頂分裂組織と同じ遺伝子発現パターンを示し,茎と葉の性質が混在する器官であることも明らかにされています。この他にも,ラオス産のカワゴケソウ科の種の実生形態を観察することによって,新たなボディプランをもつ種の存在も報告されています。これらの業績が高く評価されました。

第5回論文賞

  • Yano O., H. Ikeda & T. Hoshino. 2010. Molecular and cytological studies of an interspecific hybrid in Schoenoplectus (Cyperaceae). APG60(3):141-149
  • 高倉 耕一・西田 佐知子・西田 隆義 植物における繁殖干渉とその生態・生物地理に与える影響. 分類10(2):151-162

 第11回(2012年度) 2012/3表彰・授与

学会賞

秋山 弘之「東アジア・東南アジアに分布する蘚類の分類学的研究」
秋山 弘之氏は,一貫して東アジア,東南アジアに分布する蘚苔類の分類学的・植物地理学的研究を行ってこられました。その研究成果は,数多くの新分布種や新種として記載発表され,本地域における蘚苔類の生物相解析に大いに寄与されました。各地に隔離的に分布する蘚苔類における進化生物学的研究を進められ,日本の蘚苔類相研究を進化の実体に迫る段階へと深められました。また,専門書だけではなく,一般向けの書籍も出版され,蘚苔類学の普及に貢献されました。日本植物分類学会では,評議員,庶務幹事,和文誌編集責任者,英文誌・和文誌編集委員等を歴任され,会の発展につくされました。これらの功績は,日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。
田中 昭彦「鳥取県の植物の研究」
田中 昭彦氏はシダ植物を中心に,鳥取県内の維管束植物や珪藻類などについて,多数の調査研究をまとめ発表され,地元地域の植物相の解明に大いに寄与されました。平成 23 年には,調査研究の源である植物標本を鳥取県立博物館に寄贈されました。県内産を中心に約 5 万点あり,博物館所蔵の植物標本は倍増し,鳥取県・山陰の植物の自然史を解明する上で最も重要なコレクションとなりました。現在でも,鳥取県立博物館の植物同定講師,氷ノ山自然観察会指導員,NHK 文化センター鳥取教室の講師などとして,県内の多くの場所で植物観察の指導にあたっておられ,植物分類学の教育・普及にも大いに貢献されておられます。これらの功績は,日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。

奨励賞

堤 千絵「シノブ科やクモキリソウ属を用いた着生植物の進化に関する研究」
堤千絵氏は,主に着生植物の進化研究を行い,シダ植物シノブ科では,着生性はつる性や半着生性をへて段階的に進化した可能性が高いということと,進化に伴って生じた形態の変化を示唆しました。ラン科クモキリソウ属では,着生種は胚サイズが増大していること,強光や低温でも高い発芽能力があること,共生菌に違いがあることを示しました。また,これらの分子系統関係を明らかにし,新種記載も行っています。近年では,ゼンマイ亜属の系統や雑種記載を行っています。これらの功績が高く評価されました。
東馬 (大井) 哲雄「日華植物区系を中心とした植物多様性解析」
東馬(大井)哲雄氏は,主に日華植物区系の植物多様性について,属から種内レベルの系統・進化について研究を実施してこられました。アオキ属では日本列島内での遺伝的・倍数性における地理的分化を明らかにし,現在は属内における倍数化・交雑や分類学的な問題に取り組んでおられます。またオオバウマノスズクサ属では系統に基づき属の分類体系の再検討を行う他,近縁種群の種分化・交雑についても解析を進めてこられました。テンナンショウ属・ツルリンドウ属や小笠原産植物の多様性解析にも取り組んでおられます。これらの研究成果が高く評価されました。
中村 剛「琉球及び台湾の植物地理と分類に関する研究」
中村剛氏は,琉球列島を対象に,種子植物相の島嶼間分化に関する定量的解析と,種レベルの系統地理学的解析を行い,植物地理パタンの形成要因を論じてこられました。陸橋分断による長期間の隔離の効果と,これと交絡する地理的距離や気温の緯度勾配の効果を区別する必要性を示し,古地理を専ら重視する従来仮説の見直しを行いました。また,琉球−オーストラリア隔離分布の分子系統による立証,台湾固有属の分類見直し,中琉球固有種に関する繁殖生態を考慮した分類の再検討,大東諸島の侵略的外来種の報告など,当地域の植物多様性の理解に努められました。これらの業績が高く評価されました。

第6回論文賞

  • Ootsuki, R., W. Shinohara, T. Suzuki & N. Murakami. 2011. Genetic variation in the apogamous fern Cyrtomium fortunei (Dryopteridaceae). APG62(1):1-14
  • 福原 達人. 2011. Heterodichogamy(異型異熟)の自然史. 分類11(1):35-46

大会発表賞

口頭発表

  • 福島 健児「食虫植物ムラサキヘイシソウにおける杯葉の発生メカニズム」
  • 山本 武能「ニガキ科(ムクロジ目)の生殖器官の発生学的研究:特に閉塞組織の進化に関して」

ポスター発表

  • 小栗 恵美子「小笠原諸島固有種ムニンハナガサノキ(アカネ科)の起源と性表現の進化過程を探る」
  • 加藤 将「オオシャジクモ種内(シャジクモ目シャジクモ科)の新規系統に関する分類学的研究」

 第12回(2013年度) 2013/3表彰・授与

学会賞

瀬戸口 浩彰「系統地理と環境適応を基盤した植物の種分化研究」
瀬戸口 浩彰氏は,植物の系統や系統地理学を基盤とした進化多様性に関する研究を行ってこられました。系統地理学研究では,主に南半球(南太平洋域とゴンドワナ大陸由来の地域)や東アジア地域,ならびに国内を対象として,地形の変遷や気候変動に伴う植物の分布域変遷,レフュジア推定を進められました。さらには得られた結果に基づいて,地域ごとの環境に植物が適応進化していく機構を明らかにするべく,具体的な遺伝子の特定を行う研究も進められておられます。また,研究の過程において絶滅に瀕した植物集団を見出しては,その保護に資する研究と実践につながる活動を進めておられます。日本植物分類学会では,評議員,英文誌・和文誌編集委員を歴任され,会の発展につくされました。これらの功績は,日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。
谷城 勝弘「カヤツリグサ科植物の種間雑種とその形成要因に関する研究」
谷城 勝弘氏は,現役高校教師の傍ら,カヤツリグサ科,ミクリ科,ホシクサ科等の湿性植物やシダ植物の分類学的研究を行って来られました。また,千葉県植物誌や千葉県レッドデータブックなどの編纂に貢献されました。一般向けに出版された『カヤツリグサ科入門図鑑』と『野外観察ハンドブック シダ植物』の2冊の図鑑は,分類に必要な形態形質を,生態情報をも加えた沢山の見易い写真をもとに解説し,一般には難しいとされるこれらの植物の同定に役立つばかりで無く,専門用語や微細な構造を学ぶこともできる画期的な書となりました。高校のクラブ指導をもとに,若い世代への分類学の教育普及にも大いに貢献されました。これらの功績は,日本植物分類学会賞にふさわしいと評価されました。

奨励賞

土金 勇樹「藻類を用いた種分化研究; 性フェロモンによる生殖隔離と生殖様式の進化」
土金 勇樹氏は,ホシミドロ目に含まれる藻類であるミカヅキモ属を主な研究材料として,種分化機構の解析を行なってこられました。ヘテロタリック株の有性生殖では,タンパク質性の性フェロモンにより雌雄認識が行なわれており,それぞれが生殖隔離した集団を用いる事で,性フェロモンの認識の低下が生殖隔離の原因の1つであることを明らかにされました。また,生殖様式の進化を明らかにするため,詳細が不明であったホモタリズムと呼ばれる生殖様式に注目し,その実体が「自殖」であることを解明されました。また,藻類の接合過程がiPhone 上で簡単に観察できる無料の教育ソフトを開発され,研究者ばかりでなく,中,高等学校への教育・普及に貢献されました。 これらの功績が高く評価されました。
布施 静香「広義ユリ科を中心とした種生物学的研究」
布施 静香氏は,単子葉植物の分類を中心に研究を進めてこられました。高い解像度の分子系統樹を構築し,広義ユリ科植物の分類再編の基盤となる研究や,ショウジョウバカマ属について,分類の整理や新種記載の他,マイクロハビタットによる種の維持機構の存在についても研究されました。また,単子葉植物全体の分子系統樹の構築にも携わり,チシマゼキショウ科,キンコウカ科,タケシマラン属などについては種間の系統関係を明らかにされました。また,在野の研究者との共同研究や県フロラのとりまとめにも尽力してこられ,博物館所属研究員として幼児から高齢者までを対象にこれまでに100回以上の講座を開催し,植物に関する教育活動にも力を注いでこられました。日本植物分類学会では,図書幹事や講演会担当委員を努められ,会の発展につくされました。これらの業績が高く評価されました。

第7回論文賞

  • Werukamkul, P., L. Ampornpan, S. Koi & M. Kato. 2012. Taxonomic study of Podostemaceae in Loei Province, Northeastern Thailand. APG 63(1):11-28
  • Yamashiro, T., A. Yamashiro, M. Ogawa, N. Kurosaki, T. Kobayashi & M. Maki. 2012. High population genetic diversity and regional differentiation in the endemic Vincetoxicum katoi-V. yamanakaecomplex (Apocynaceae; Asclepiadoideae) in Japan. APG 63(1):29-40

大会発表賞

口頭発表

  • 柿嶋 聡「周期的一斉開花が引き起こす非対称な種間交雑」
  • 高山 浩司 「種分化様式の違いに着目した海洋島固有種の遺伝的多様性の時空間的変遷の解明」
  • 藤浪 理恵子「シダ植物小葉類の根頂端分裂組織の比較解剖学」

ポスター発表

  • 鈴木 雅大「日本産紅藻ベニスナゴは複数の隠蔽種を含む」
  • 瀬尾 明弘 「日本産セリは少なくとも2種にわかれる」

 第13回(2014年度) 2014/3表彰・授与

学会賞

益村 聖「手書きの絵による植物図鑑の制作」
益村 聖氏は,一般向けの素晴らしい図鑑を多数手掛けられています。既存の植物図鑑の多くは本州の植物が中心であり, 九州の植物については図を伴わない解説のみの資料がほとんどでした。益村氏による『絵合わせ 九州の花図鑑』は,九州中北部の植物を調べる際のバイブルともいえる書として多くの方に利用されています。これまでに4 巻出版された『原色 九州の花・実図譜』は,細部まで正確にとことん描き込まれた大判の美しい図譜です。氏はまた,九州のイネ科やカヤツリグサ科研究への貢献も著しく,最近でも地方植物研究誌に精力的に総説を書かれています。APG にも,新雑種マンゴクドジョウツナギの記載論文を単名英文で発表されました。
邑田 仁「日華植物区系を主とする被子植物の分類学的研究」
邑田 仁氏は,日本各地のほか,中国雲南省や台湾,ミャンマー等で現地調査を行い,日本の植物相と深く関連する日華植物区系の様々な植物について分類学的な研究を進めて来られました。これまでに扱われた研究対象は, テンナンショウ属および近縁属,サワギキョウ属,ツチトリモチ属,スズムシバナ属,ウマノスズクサ属,ツルリンドウ属,ホンゴウソウ科など多岐に渡ります。また, ミツマタやワカキノサクラのシュート構成の研究なども行われてきました。『原色牧野植物大図鑑』の編集,『日本のテンナンショウ』などの多くの図鑑類に関わられ, 一般への植物分類学啓蒙にも大きな貢献をなされました。日本植物分類学会では,2005 年から2008 年までの二期,会長として会の発展に努められました。

奨励賞

池田 啓 「日本産高山植物の系統地理: 分布形成の歴史と地域適応への示唆」
池田 啓氏は,系統地理学を専門とされ,高山植物(特に周北極-高山植物)の進化に興味を持って研究を進められています。日本列島の高山植物では中部地方と北日本の個体が異なる系統に属することが分子系統解析から知られていましたが,池田氏は南北間の分化が集団レベルの分化として複数の高山植物において維持されていることを示されました。また,核遺伝子や集団遺伝学を取り入れた手法により,南北集団の分化が最終氷期直前の間氷期(最終間氷期) に由来することを提示されました。さらに,中部地方と北日本の個体間では,光受容体(フィトクロム;PHYE)が自然選択を受けて分化していることを明らかにし,地域間の分化には光環境への適応が関わることを示唆されました。最近では,日本固有種とその近縁とされる周北極植物の系統関係を明らかにすることに力を入れられています。APGへの1編の論文発表および,日本植物分類学会大会での7件の発表(2009年大会ポスター発表賞受賞)を行われ,2010 年大会発表賞審査員も務められました。
奥山 雄大 「チャルメルソウ属をモデルとした日本固有植物群多様化機構の包括的研究」
奥山 雄大氏は,分子系統学,分子分類学,送粉生態学,遺伝学がご専門で,植物の多様な形質と生活史とをつなぎ,その進化史を解明することを研究テーマの中心としておられます。特に日本列島での多様化が著しいユキノシタ科チャルメルソウ属について一貫して研究を続けられ,その送粉様式と花形質の適応進化過程の解明,分子系統樹に見られる過去の種間交雑の痕跡の発見,生殖的隔離の進化パターンの解明と隠蔽種2種の発見,異質倍数体ゲノムの起源の解明等の成果をあげられました。また「世界で一番美しい花粉図鑑」等3冊の出版物の邦訳監修をされ,一般への植物学普及にも貢献されています。分類へ1編の論文発表があり,日本植物分類学会大会では,5 件の大会発表(2008 年大会ポスター発表賞受賞)を行い,2009年大会発表賞審査員を務められました。

第8回論文賞

  • Toyama, H., S. Tagane, P. Chhang, T. Kajisa, R. Ichihashi, V. Samreth, V. Ma, H. Sokh, A. Katayama, H. Itadani, M. Tateishi, Y. Tachiki, K. Mase, Y. Onoda, N. Mizoue, H. Tachida & T. Yahara. 2013. Inventory of the woody flora in permanent plots of Kampong Thom and Kampong Chhnang Provinces, Cambodia. APG 64(2):45-105
  • Fujii, N., K. Ueda, Y. Watano & T. Shimizu. 2013. Taxonomic revival of Pedicularis japonica from P. chamissonis (Orobanchaceae). APG 63(2):87-97

大会発表賞

口頭発表

  • 末次 健司「鹿児島県三島村で発見されたタケシマヤツシロラン −光合成も開花もやめた新種のラン科植物−」
  • 掛澤 明弘「屋久島の高山性ミニチュア植物ヒメコナスビの小型形態には遺伝的バックグラウンドが存在する」
  • 高橋 佑磨「ニワゼキショウにおける色彩多型の維持と空間変異の成立機構」

ポスター発表

  • 首藤 光太郎「思ったより複雑なイチヤクソウの種内変異−赤く葉が退化した植物の実体−」

 第14回(2015年度) 2015/3表彰・授与

学会賞

上野 雄規「東北地方の植物相に関する研究」
上野 雄規氏は,一貫して東北地方を中心とする維管束植物の分類や分布の研究を続け,多数の著書や論文をまとめ,北本州の植物相の解明に大いに寄与されました。また,『大鷹沢の植物誌』(1974)など各地域の植物目録の作成や,『北本州産高等植物チェックリスト』(1991)の編集と目録作成のための基礎資料の取りまとめ,東北大学植物園標本館TUS などの標本の収集にご尽力されました。それらの成果をもとに,日本植物分類学会第8 回大会(2009)一般公開シンポジウム「東北地方の植物相の成り立ち」において,「東北地方を北限とする植物の密集地」と題する講演を行い,『分類』第10 巻(2010)に論文を公表するなど,本学会に多大な貢献をされました。また,東北地方を中心としたフロラ研究を発展させ,会員相互の親睦をはかることを目的に1981 年に東北植物研究会を設立し,以降30 年にわたって独力で事務局および編集事務局を担当し,年一回の大会,16 号におよぶ『東北植物研究』の編集発行を一手に引き受けて,東北地方における植物研究者のレベルアップや親睦に多大な貢献をしてこられました。このように,同氏は北本州の植物相の解明および地域の植物研究の振興に顕著な業績を残されています。また,現在宮城県の植物誌の編纂に中心的に携わるなど,今後のさらなる活躍も期待されます。
梶田 忠「広域分布する海流散布植物の系統分類・系統地理学的研究」
梶田 忠氏は,植物系統分類学・系統地理学を一貫して研究してこられました。系統分類学では,分子マーカーを用いて,マメ科,フタバガキ科,ヤナギ科等の分類群の系統関係を明らかにされてこられました。系統地理学では,広域分布する植物群を中心に,種内の遺伝的変異の地理的分布を研究し,分布域の維持や変遷を明らかにされました。特に全世界の熱帯海岸域に分布するグンバイヒルガオ等の植物については,「汎熱帯海流散布植物」という新呼称で,新たな研究分野を開拓してこられたのは特筆に値します。また,マングローブ植物では,全球的研究ネットワークを形成して,精力的に研究を進めておられます。2003 年より米倉浩司氏と共同で,YList として知られる「BG Plants 和名−学名インデックス」の管理運営を行い,学名検索のために研究者のみならず一般の方にも有益なデータベースをweb 公開しておられます。本学会では,庶務幹事,評議員,植物分類学関連学会連絡会・日本分類学会連合担当委員を歴任され,日本植物分類学会第13 回大会(2013)の実行委員長として貢献されました。

奨励賞

末次 健司「従属栄養植物が独立栄養植物や菌類,送粉者と織り成す多様な相互作用」
末次 健司氏は,従属栄養植物が生活史を全うするための適応進化を明らかにしてこられました。フィールドでの従属栄養植物の精力的な探索と記載分類を行なった上で,野外観察から分子生物学的解析に至る様々な手法を駆使し,従属栄養植物の実態に迫る研究を展開してこられました。植物相の調査の進んだ日本において2種の新種となる被子植物を発見・記載したこと,寄生性獲得に伴う暗い環境への進出が,ショウジョウバエ,トビムシによる花粉媒介やカマドウマによる種子散布など特殊な送粉・種子散布様式への収斂現象を促したことを明らかにするなど,特筆すべき成果を上げられました。これらの研究成果は,専門誌のみならず数々の新聞やテレビ等一般メディアに取り上げられ,高い注目を受けています。『APG』に3 編,『分類』に1編の論文発表および,日本植物分類学会大会で2 件(2014 年大会口頭発表賞受賞),日本植物分類学会講演会で1 件の発表を行いました。
保坂 健太郎「きのこ採集と標本に基づく進化・多様性研究」
保坂 健太郎氏は,菌類,特にきのこ類(担子菌門ハラタケ亜門)の分類・系統・多様性・生物地理を専門に研究を進めてこられました。分類・系統では,スッポンタケ亜綱に属する4 目(スッポンタケ目,ラッパタケ目,ヒメツチグリ目,ヒステランギウム目)およびハラタケ目ヒドナンギウム科について全世界的にサンプリングを行ってこられました。生物地理では,上記スッポンタケ亜綱に属する4 目の生態的要求性(菌根性vs 腐生性など)を特定し,その違いが分布パターンに与える影響を調べておられます。最近は標本に基づく研究を重視しつつ,目に見えない土壌DNA のメタゲノム解析と子実体データによる多様性解析の比較を進めておられます。これらの成果は数多くの論文としてまとめられています。また,図鑑類の著作も多く,子供向けの本など,菌類学の普及にも貢献されました。本学会では,会計幹事を務められ,『分類』に1編の論文発表,日本植物分類学会大会で8 件の発表を行っておられます。

第9回論文賞

  • Ebihara, A., N. Nakato, Y. Saito, T. Oka & T. Minamitani. 2014. New records of Asplenium varians (Aspleniaceae) and two new hybrids in Japan. APG 65(2):53-65

大会発表賞

口頭発表

  • 木村 拓真「伊豆諸島におけるアキノキリンソウ属植物の複数回移入と遺伝的分化」

ポスター発表

  • 森 脩祐「降雨に適応した開花・開葯の解析」
  • 渡辺 洋一「渓畔適応したツツジ属低木2種の進化と異所的分布の成立」

 第15回(2016年度) 2016/3表彰・授与

学会賞

柏谷 博之「地衣類の分類学的研究に対する貢献」
柏谷 博之氏は,地衣類分類学を専門とされ,これまでに約180 報の研究論文を発表されてきました。日本はもとより,韓国,中国,カンボジアなどのアジア地域や,ハワイ諸島,中南米,南極地域の地衣類相の解明に取り組まれてきただけでなく,ムカデゴケ科,カラタチゴケ科,モジゴケ科,サネゴケ科などで多くの新種および新知見を発表され,植物分類学に多大な貢献をされてきました。また,環境省「絶滅のおそれのある野生生物種の選定・評価検討会 植物II分科会」では座長を務められ,環境保全の基礎資料となる,地衣類,蘚苔類,藻類,菌類の絶滅危惧種の選定について取りまとめをされました。一方,アンコールワット遺跡や国内の文化財石材に着生する地衣類の影響調査や,地衣類を除去する薬剤「コレトレール」の民間企業との開発,地衣類の試験管培養など,ユニークな研究も行われ,分類学の枠にとらわれない幅広い研究活動を通じて社会への貢献もされてきました。本学会では庶務幹事ならびに絶滅危惧植物・移入植物専門第二委員会委員長を務められ、本会の発展にもご尽力されました。
古池 博「石川県を中心とした植生・植物相研究を通じた分類学への貢献」
古池 博氏は,石川県を中心とした植生調査に長く携わって来られました。これらの調査を通じて,「植生を植物社会学的・群落生態学的に観察・解析する」という姿勢を貫いておられます。個々の植物を分類し植生を明らかにするだけでなく,地域の植生が持つ適応的な意味を深く考察する点で,古池氏の研究姿勢は際立っています。また,「植物に精通した高校教諭」という立場を最大限に生かし,植物分類学の普及に貢献して来られた点も特筆に値します。さらに,古池氏は自然史博物館の設立に向け1986 年から精力的に行政への働きかけを行って来られました。2005 年には特定非営利活動法人石川県自然史センターを立ち上げ,同センターが指定管理団体となり, 2006 年に石川県立自然史資料館が開館しました。現在も同センターの理事長として,資料館の運営に携わっておられます。このように,地域の植生研究に大きく貢献されただけでなく,草の根的な普及活動から自然史資料館の設立まで,北陸地域における植物分類学の発展に尽力されてきました。

奨励賞

片桐 知之「東アジア産苔類を中心としたコケ植物の多様性と系統関係の解明」
片桐 知之氏は,コケ植物(主に苔類)の分類学的・系統学的研究を行っておられます。苔類のなかでも形態的多様性に富むムクムクゴケ科について,各種の実態と系統関係を明らかにすることを世界規模で展開されています。その成果については学位論文を含む一連の論文として着実に発表されています。また日本産苔類のチェックリストの改定にも主著者として貢献しておられ,今後の苔類分類学を担う活躍が期待されています。さらにコケ植物の化石を対象とした分類学的研究にも取り組んでおられ,世界初となるヤバネゴケ科の化石種の発見・記載や日本最古(三畳紀)のコケ植物の分類学的位置の解明などの成果をあげておられます。これまでに論文1 編をAPG に,大会において口頭発表2 件,ポスター発表1 件があり,レッドリスト第3 次見直し現地調査(平成22 年度蘚苔類)においても貢献されています。
佐藤 博俊「DNA 情報を活用した外生菌根菌種の実態および共生樹種との関係の解明」
佐藤 博俊氏は,従来の形態情報に加えてDNA の塩基配列情報も最大限に活用し,生物学的実体を反映したキノコ類の生物学的種分類を特にオニイグチ属を中心として研究しておられます。さらに、キノコ類では1つの形態種に多数の隠蔽種が含まれていることによって,本来,外生菌根菌には宿主特異性をもつものが少なくないにも関わらず宿主特異性が存在しないと誤解されてきたのではないかという仮説を立てて研究を進め,大きな研究成果をあげている点は高く評価されるところです。さらに近年は,様々な専門分野の研究者と共同して独創的な研究を次々と行っておられます。大会では口頭発表4 件,ポスター発表3 件を行うとともに,分類学会講演会において「DNA 情報を活用することで明らかになった外生菌根菌の種の実態と共生樹種との関係」として講演されています。

第10回論文賞

  • Koi, S. & M. Kato. 2015. The taxonomy of Podostemaceae subfamily Tristichoideae in Laos, with descriptions of seven new species. APG 66(2):61-79
  • Tagane, S., H. Toyama, P. Chhang, H. Nagamasu & T. Yahara. 2015. Flora of Bokor National Park, Cambodia I: Thirteen new species and one change in status. APG 66(2):95-135

大会発表賞

口頭発表

  • 江口 悟史「RADseq データと分岐年代推定が解き明かすチゴユリ属 (イヌサフラン科) の進化史」
  • 高橋 大樹「萼裂片長の著しい勾配を示すカンアオイ属サカワサイシン節の進化史」

ポスター発表

  • 山本 将也「サクラソウ属コイワザクラ節 (Sect. Reinii) の系統と生物地理」
  • 山本 崇「汎熱帯海流散布植物ハマアズキを用いた太平洋内の「見えない障壁」の探索」

 第16回(2017年度) 2017/3表彰・授与

学会賞

岡田 博「被子植物の多様性,特に種レベルに現れる現象についての多面的解析への貢献」
岡田 博氏は,染色体に着目して原始的被子植物の系統関係解明に取り組まれ,さらに東南アジア湿潤熱帯に分布するバンレイシ科の分類学的研究について数多くの貢献をされてきました。またキツネノボタンを含むキンポウゲ属植物のいくつかの種では染色体に見られる変異,交配様式等に注目し集団間変異・種間関係を解明し,さらにこの手法をヤブカラシに応用し,種のあり方の実体の解明にも貢献されています。スマトラ島・カリマンタン島を中心として,フロラの解明にも尽力されています。また2000 年から2010 年にかけて編集委員長として学会誌の発展に大いに貢献されました。
小林 禧樹「日本産テンナンショウ属の分類学的研究ならびに兵庫県の植物相解明への貢献」
小林 禧樹氏は,分類が難しいとされるサトイモ科テンナンショウ属に興味をもち,30 年前から調査を続けてこられ,形態的形質や染色体数,胚珠の数などに注目して,特にヒガンマムシグサ群を中心に研究をされてきました。神戸市で最初に確認されたハリママムシグサ個体群については1992 年から25 年間のモニタリングを続けるなど,遺伝的多様性に着目した活動もされています。また神戸市や淡路島を中心に兵庫県の地域フロラの解明にも力をつくされており,2014 年には「淡路島の植物相の特徴と注目される植物−改訂増補版を出版して」と題し学会講演会で発表されています。これまでに多数の植物標本を作製し,それらは貴重な資料として多くの大学・博物館に収められています。

奨励賞

伊藤 優「水生植物の進化系統分類の研究」
伊藤 優氏は,形態・染色体・分子データに基づいた地域新産種の報告や新種の記載,新分類体系の提唱,雑種の起源や倍数体の進化解明,長距離種子散布の起源推定などに取り組まれています。特に,カワツルモ科に関する一連の研究は,水生植物における長距離散布を示す先駆的な研究として高く評価されるものです。これまでに査読論文22 本の他10 本の報文を出版され,その他に9 回の学会発表,2010 年日中韓合同シンポジウムでの発表があります。また,『改訂新版 日本の野生植物』では,ヒルムシロ科・カワツルモ科を担当されています。
志賀 隆「水生植物を中心とした維管束植物の植物分類学および保全生物学の研究」
志賀 隆氏は,他の維管束植物のグループに比べ研究が遅れている水生植物の分類学的研究に取り組むと共に,集団遺伝学的・生態学的な手法を用いて保全にかかわる研究を進められています。また現地調査,標本調査,文献調査を通じて,地域の植物相を解明し,過去からの植物相の変遷に関する研究を進めておられます。これまでに査読論文18 本のほか,新知見や普及教育の47 本の報文を出版されているだけでなく,20 回の学会発表を行い,さらに『改訂新版 日本の野生植物』ではスイレン科,アリノトウグサ科を執筆担当されています。また,2013 年から2016 年には庶務幹事を担当され,その他にも絶滅危惧植物第一専門委員会委員,植物分類学の将来の発展と普及に関する委員会委員,評議員を歴任されています。
矢野 興一「カヤツリグサ科植物の系統分類学的研究」
矢野 興一氏は,外部形態だけでなく,DNA を用いた系統解析と染色体を用いた細胞遺伝学的解析を同時に行うことで,分類学的な問題を多く含むカヤツリグサ科にとりくまれてきました。その結果,カヤツリグサ科の多様化には染色体の倍数性と異数性の両方が関係していることを明らかにされました。現在は中国やヒマラヤ地域にも対象地域を広げるとともに,国際的スゲ属植物研究グループの一員として活動を続けておられます。これまでに32 本の査読論文,20 編の報文を出版され,その他に12 回の学会発表をおこなっておられます。また2010 年学会論文賞を受賞されました。2015 年から学会ホームページ担当幹事を担当されています。

第11回論文賞

  • Tono, A., Iwasaki, T., Seo, A. & N. Murakami. 2016. Postglacial lineage admixture in the contact zones of the two Japanese deciduous broad-leaved tree species estimated by nuclear microsatellite and chloroplast DNA markers. APG 67(1):1-16
  • Fujinami, R., Yoshihama, I. & R. Imaichi. 2016. Comparative morphology of chloroplasts in Podostemaceae subfamilies Tristichoideae and Weddellinoideae suggests evolution of chloroplast dimorphism. APG 67(1):29-36

大会発表賞

口頭発表

  • 伊東 拓朗「亜熱帯性海岸植物ハママンネングサは複数分類群を内包する―男女群島および宮古島から発見された 2 新種―」
  • 松崎 令「彩雪を構成する氷雪性緑藻類のシストの分子系統と1未記載種」

ポスター発表

  • 藤原 泰央「日本産ノキシノブ四倍体(ウラボシ科)における複数回起源とその遺伝的構造」
  • 小林 弘佳「接合藻ヒメミカヅキモの性フェロモンによる生殖隔離と生殖干渉」

 第17回(2018年度) 2018/3表彰・授与

学会賞

戸部 博「被子植物分類群の花と生殖器官の特徴と進化の研究」
戸部 博氏は,主に被子植物を対象として,さまざまな分類群の花,生殖器官,花粉,染色体などの形態的特徴から,分類群としての評価と類縁関係,形態形質の進化の研究を行なってこられました。研究対象は基部被子植物,単子葉植物,真正双子葉植物など被子植物全体に及び,被子植物64目のうち30目にわたる分類群の研究成果を160編の論文として発表されています。また,多くの編著書と訳書を通じて,植物分類学の普及にも努められました。1994年から1999年には編集委員長,2008年から2011年には会長として,日本植物分類学会の発展に大いに貢献されました。
若杉 孝生「福井県を中心とする植物相研究を通じた分類学への貢献」
若杉 孝生氏は,福井県を中心とした植物相研究に長く携わってこられました。多くの報文を発表され,『福井県植物図鑑』(福井県植物研究会,1997–2001)の出版にあたっては,編集代表として貢献されました。また,福井総合植物園の整備計画策定委員として,自然の地形と植生を生かした様々な環境の自生・植栽展示,植物学の学習が可能な屋内展示スペースと植物標本館を備えた植物館をもつ先進的な植物園の建設にも取り組まれました。1994年からは福井総合植物園長,2006年からは名誉園長を務められ,植物分類学の普及・発展に大きく貢献されました。

奨励賞

阪口 翔太「生態遺伝アプローチによる植物の進化・多様性研究」
阪口 翔太氏は,分子マーカーとフィールド調査を組み合わせ,植物の多様化における集団動態と環境適応について,さまざまな研究を進められています。東アジアやオーストラリアの植物を材料に,系統解析により形質進化を調べるほか,大量のサンプルにもとづいて遺伝的集団デモグラフィを推定することで,過去におきた環境変動の影響を評価しています。また,シカの過採食,採鉱,森林火災などによる植物群集への影響を,遺伝学的な解析により明らかにするなど,植物多様性の保全についても積極的に取り組まれています。
田金 秀一郎「アセスメント手法を活用した東南アジアの植物多様性研究」
田金 秀一郎氏は,東南アジアの植物種の多様性評価と,それに基づく熱帯林の保全対策に関わる研究に取り組まれています。東南アジアの広い地域で,同一のトランセクト調査法による全維管束植物相をもちいて多様性評価を行い,36,000点を超える植物のデータを標本,生態写真,DNA解析用資料とともに記録されました。国際的な協力関係のもとに,これらのデータに基づいて数多くの新種を発表され,DNA配列情報をもちいた系統地理学的研究や,地域の植物相のチェックリスト・図鑑の作成を進められています。

第12回論文賞

  • Wakasugi, Y., H. Azuma, A. Naiki & S. Nishida. 2017. Morphological and molecular phylogenetic analyses of Geranium yesoense (Geraniaceae) in Japan. Acta Phytotax. Geobot. 68(3): 129–144
  • 武田眞一・黒沢高秀. 2017. スミレ属無茎種コスミレとノジスミレの冬芽形成時期から開花期にかけての花器官の形態変化および春の閉鎖花とその由来. 分類17(1): 25–41

大会発表賞

口頭発表

  • 長澤 耕樹「硫気孔原植物ヤマタヌキランの起源と遺伝的特性」
  • 亀岡 慎一郎「ミスミソウの繁殖成功は集団内における花色頻度の影響を受けるのか?」

ポスター発表

  • 根本 秀一「葉緑体DNAの塩基配列に基づくキクバクワガタ種内分類群の遺伝的多様性」
  • 緑川 昭太郎「水生植物トリゲモとオオトリゲモは分類学的に識別可能か〜形態・染色体・DNA解析に基づく再検討」

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