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活動他/2016年度講演会

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2016年度日本植物分類学会講演会のお知らせ

日本植物分類学会では以下の講演会を開催いたします。会員外でも参加できますので多くの方々のご参加をお待ちしています。

日時
2016年12月17日(土)午前10時〜午後5時
会場
大阪学院大学2号館地下1階2号教室(02-B1-02教室) 〒564-8511 大阪府吹田市岸部南2丁目36番1号(電話:06-6381-8434)

 プログラム

演者 演題
10:00-10:05 角野 康郎(学会長) ご挨拶
10:05-10:55 藤井 伸二 海岸線の植物
11:05-11:55 岩崎 貴也 日本の温帯林植物における集団分化の歴史:現在の遺伝的地域性はどのようにして形成されたか?
11:55-12:50 昼食
12:50-13:40 海老原 淳 日本産シダ植物の多様性総覧を目指した新図鑑の試み
13:50-14:40 戸部 博 ハナイカダとその仲間に見られる花と生殖器官の進化
14:40-15:00 休憩
15:00-15:30 工藤 洋 河野先生とのフィールドワーク
15:30-16:00 田村 実 広義ユリ科の世界
16:00-16:50 林 一彦 ユリ属植物の故郷をめぐって

 その他

参加費としてお茶代(100 円)を徴収いたします。また講演会終了後,大阪学院大学職員食堂(17号1 階)で懇親会を行います。参加費は4,000 円(院生・学部学生には割引あり)です。できれば事前にokazaki@cc.osaka-kyoiku.ac.jp に連絡いただけるとありがたいですが,当日申込も可能です。

 会場までのアクセス

JR 東海道本線岸辺駅あるいは阪急京都線正雀駅から大阪学院大学までともに徒歩5 分。 大学ウェブサイトの「交通アクセス」と「キャンパスマップ」をご覧下さい。

 講演内容(執筆は各演者による)

海岸線の植物

藤井 伸二(人間環境大学・人間環境学部)

海岸には様々な環境があります.砂浜,岩場,塩性湿地など,実に多様です.地形的にみても,海跡湖,砂丘,砂州,海岸段丘など各種の類型があります.なかでも,リアス式海岸にしばしば成立する小規模海跡湖はその一つ一つの表情が異なっていて,たいへん興味深いものです.ヒメキカシグサ(唯一の現存群落?)も確認されています.海跡湖を中心に,多様な海岸線の環境と植物を紹介します.

日本の温帯林植物における集団分化の歴史:現在の遺伝的地域性はどのようにして形成されたか?

岩崎 貴也(京都大学・生態学研究センター)

過去に訪れた氷期間氷期の影響を受け,野生生物はその分布域の中で地域ごとに少しずつ遺伝子が異なっていることが知られています(=遺伝的地域性)。この遺伝的地域性は地域固有の自然遺産とも呼べるものであり,現在では生物多様性の4階層のうちの1つである遺伝子の多様性として,保全の際にも考慮されるようになってきています。今回は,日本の温帯林植物(複数の樹木種,コンロンソウ,ミスミソウなど)について,近年の研究によって明らかとなった遺伝的地域性のパターンを紹介します。特にミスミソウについては,コアレセントシミュレーションという手法を用いて推定した詳細な集団分化・多様化の歴史についても紹介したいと考えています。

日本産シダ植物の多様性総覧を目指した新図鑑の試み

海老原 淳(国立科学博物館)

現在刊行中の『日本産シダ植物標準図鑑』(全2 巻)には,検索表の代わりにマトリックス形式の形態比較表が収録され,種間の関係が系統樹によって示されるなど,従来の図鑑には見られなかった試みが盛り込まれています。また,1990 年代までに既に作成されていた証拠標本に準拠した分布図を,全国規模の組織の支援を得てアップデートするプロジェクトが並行して進められました。日本産シダ植物の多様性に関する情報を集約した「多様性総覧」を企図した本図鑑は,果たして受け入れられるのでしょうか…? 試行錯誤の顛末と,結局実現できなかった課題も含めてご紹介します。

ハナイカダとその仲間に見られる花と生殖器官の進化

戸部 博( 京都大学名誉教授)

ハナイカダは葉の上に花(花序)をつけるのが特徴で,日本の温帯林に普通に見られる落葉性低木の種です。かつてはミズキ科に含まれていましたが現在ではモチノキ目の中にハナイカダ属(東アジアの4種)のみからなるハナイカダ科として分類されています。ハナイカダ科に最も近い科が中米に分布するフィロノマ属(4種)のみからなるフィロノマ科です。フィロノマ科もまた葉の上に花序をもちます。本講演では,ハナイカダ科とフィロノマ科を中心にモチノキ目の花と生殖器官の特徴やその進化について紹介します。

河野先生とのフィールドワーク

工藤 洋(京都大学・生態学研究センター)

河野昭一先生は,日本各地,世界各地で精力的にフィールドワークを実施され,研究室の学生を様々なところに同行されていました。特に,第三紀周局要素に着目し,東アジアと北米に隔離分布する種群について,様々な側面から解析を行いました。私の講演では,先生とでかけたフィールドでの様子を紹介するとともに,先生のご指導の下に行った研究とその後の発展について紹介します。

広義ユリ科の世界

田村 実(京都大学・大学院理学研究科)

河野昭一先生と林一彦先生は,特に生活史研究・核型分析・分子系統解析の観点から,広義ユリ科に深く関わってこられました。その広義ユリ科は,分子系統樹に基づくAPG 分類体系で細分化され,5つの目にまたがる結果となっています。広義ユリ科にはどんな植物があるのか,それらは現在のAPG IV(2016) では何科に分類されているのかについて,世界のいろいろな調査地で撮影した写真を使いながらご紹介します。

ユリ属植物の故郷をめぐって

林 一彦(大阪学院大学・経済学部)

ユリ属植物は,どこで起源したのでしょうか。ユリ属植物の分類は,Wilson (1925) が主に花形にもとづく分類体系を構築し,Comber (1949) による形態的・生態的形質を多数もちいた分類系をへて,さらにLighty (1960, 1968) が交配結果や染色体の比較を通じて完成されたように見えました。しかし,Nishikawa et al. (1999),Hayashi & Kawano (2000) およびChang et al. (2011) さらにYung-peng et al. (2014) による分子系統樹の導入によってsection のレベルではComber (1949) の体系がほぼ支持されることが判明してきました。一方,Patterson & Givnish (2002) は,分子系統樹と地理的分布からユリ属植物の故郷がヒマラヤであると主張しました。はたしてそうなのでしょうか。分子系統樹を手がかりに地理的分布,交配様式,地史的変遷を考慮して考えてみます。また,ユリ属植物のたくましさも紹介します。

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最終更新時間:2016年11月10日 13時22分26秒

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